大阪市で長屋・連棟戸建て等の不動産買取|井上不動産株式会社 > 井上不動産株式会社のスタッフブログ記事一覧 > 農地に相続税はかかる?評価方法や納税猶予の特例が適用される条件も解説

農地に相続税はかかる?評価方法や納税猶予の特例が適用される条件も解説

カテゴリ:不動産売却/買取

● 農地には相続税がかかるのか。
● 農地の相続税はどのように評価されるのか。
● すぐに納税しないといけないのか。

この記事では、農地の相続権を持っている方へ、農地相続税の概要や、評価方法、納税猶予の特例を解説します。
この記事でわかること

● 農地の相続税とはなにか
● 相続税の評価方法
● 農地相続税の納税猶予特例とはなにか

農地に相続税はかかる?概要を説明

農業従事者にとって、農地の相続税が発生するかどうかは重要な問題です。
前もって知っておくことで将来的な節税や土地利用プランの設計にも役立つでしょう。

まずここでは、農地と相続税のそれぞれの概要をご説明します。

農地には相続税がかかる

相続税は、亡くなられた親族などからお金や土地などの財産を相続した場合に、財産に対してかかる税金です。
農地も価値ある財産の1つですから相続税がかかる対象となります。
土地が評価されるときには、土地の大きさの他にも形や立地など複雑な要因が絡むため、込み入った計算が必要な場合が多いです。
ご自分で要因を見極めて、正確に計算するのが難しいと感じたときには税理士や行政書士などの専門家に依頼するのも1つの手です。

相続税の決定手順について

相続税は財産全体の評価に基づいて計算したうえで決定されるため、農地の価値だけでは求められません。

ただし、この計算には、貯金や不動産のような価値があるものだけでなく、借金などの負担も含めたすべての財産が計上されることに注意が必要です。

農地かどうかの判断基準

相続する土地がどういう土地なのかは、課税時期の現況によって決まります。
したがって、相続されるときに農地に利用されていれば農地と判断されます。

また、仮に登記簿上で農地であっても、今は他の用途に利用している土地であれば農地扱いはされません。
ただし、財産としての価値は立地条件や農地の種類によって評価方法が異なります。

農地の相続税の評価方法

農地にかかる相続税は適正に評価し、把握することが重要です。
国税庁の区分する農地の種類によって税の評価方法が異なります。

また、生産緑地という優遇措置が受けられる土地もあります。
ここでは、農地の種類とそれぞれの場合の評価方法、そして生産緑地についてご説明します。

農地の種類

まずは、農地の種類を確認しましょう。
これによって税額が変わるため、重要な項目です。
国税庁による農地の評価上の区分は4つあります。
それは、以下の4つです。

● 純農地
● 中間農地
● 市街地周辺農地
● 市街地農地

純農地が自然が多い山や田畑にあり、市街地農地が都市の近くにあるイメージです。
この区分の認識を誤るとかかる税額も異なるため、特に注意しましょう。
農地の種類は、国税庁の倍率表によって確認できます。

純農地の評価方法

純農地は他への転用が難しい土地であり、相続税評価が区分のなかではもっとも低いです。 したがって、かかる税金はもっとも低くなります。

計算方法は、固定資産税評価額に、一定の倍率をかけて計算する「倍率方式」です。
固定資産税評価額は、固定資産税の通知書に記載されています。
一定の倍率は、国税庁の路線価図・評価倍率表で確認できます。
同じ地域にある農地であっても、田や畑といった地目ごとに倍率が異なるため、注意しましょう。

中間農地の評価方法

中間農地は許可によって宅地への転用が可能な土地です。
これも純農地と同様に、固定資産税評価額に一定の倍率をかけた倍率方式での計算で評価されます。

ただし、倍率は純農地よりも高くなるため、かかる相続税も高くなります。

市街地周辺農地の評価方法

市街地周辺農地は市街化傾向が強い場所にあり、宅地への転用が原則可能な土地です。
市街地周辺農地の評価額は、次節で説明する市街地農地として扱った場合の相続税評価額を計算し、それを0.8倍して算出します。
市街地農地に準ずるとして、倍率が高いけれど、0.8倍することで市街地農地よりも倍率を下げているイメージです。

市街地農地の評価方法

すでに栄えている地域やこれから市街化が進んでいく地域を市街化区域といいます。
市街化区域内に存在している農地は市街地農地です。

他にも、宅地等への転用許可が降りている、農業委員会に届け出れば転用許可が得られる、または許可の必要がないなどの場合に市街地農地として扱われます。
相続税評価が区分のなかではもっとも高いが、他への転用が容易なのが特徴です。

市街地農地の評価方法には「倍率方式」と「宅地比準方式」の2つがあります。
まず、道路に面する土地の1 m2あたりの評価額で表される路線価がない倍率地域では、倍率方式を用います。
倍率方式の計算は上記の場合同様で、固定資産税評価額に一定の倍率をかけたものです。

ただし、倍率地域でも、評価倍率表に比準と書かれていれば宅地比準方式になります。
宅地比準方式は、
(宅地であるとした場合の1 m2あたりの価額-1 m2あたりの造成費)×地積 の計算式で評価額を算出します。
「1 m2あたりの造成費の金額」は、整地や盛土などの宅地を造成するためにかかる費用がおおむね同一とされる地域ごとに国税局長によって決められています。
国税庁の宅地造成費の金額表には都道府県別でまとめられていますから、ぜひご確認ください。

また、倍率地域で宅地比準方式を取っている場合は「宅地であるとした場合の1 m2あたりの価額」が異なります。

これは、その農地に最も近接していて、なおかつ道路からの位置や土地の形状などの特徴が最も類似する宅地の評価額(固定資産税評価額 × 倍率)をもとに計算します。

生産緑地について

農地の評価上の4つの区分は上記で説明しました。
この区分とは別で評価されるものが生産緑地です。
生産緑地とは、生産緑地法により定められている、都市の緑地保全や農業の振興を目的に設定されている土地です。
農業以外への利用が厳しく制限される代わりに、固定資産税や相続税の優遇措置を受けられます。

また、生産緑地の指定から30年間が経過すると市町村長に対し「買取りの申出」ができる制度があります。
生産緑地での評価額の計算方法は、生産緑地でない場合の価額 × 下記の該当箇所の割合です。

①課税時期において市町村長に対し買取りの申出ができない生産緑地では、買取りの申出ができるまでの期間で決まります。


 ②課税時期において市町村長に対し買取りの申出をすることができる、または申出がおこなわれた生産緑地では、割合は95%です。
以上のように、申出できるまでの期間が長いほど割合が下がるため、評価額が下がります。
申出ができる、またはおこなった状態ですから、①の場合よりも評価額が高くなっていることがわかります。
つまり、生産緑地に指定されてからの日が浅いほど、軽減される割合が高くなると言えます。

納税猶予の節税対策に使える特例

農業相続人が農地を相続した場合には、納税猶予ができる特例があります。
農業相続人とは、農地を相続して、農業を営む、または特定貸付けをおこなう後継者です。
この特例の適用要件や手続き、打ち切り条件、納税免除条件についてくわしくご説明します。

特例の適用要件

特例を適用するには、①被相続人、②相続人、③農地の3つがそれぞれ要件を満たす必要があります。

①被相続人の要件

被相続人は以下のいずれかを満たす必要があります。

● 死亡した日まで農業を営んでいた
● 死亡した日まで特定貸付けあるいは認定都市農地貸付けをおこなっていた
● 生前一括贈与をした

②相続人の要件

相続人は以下のいずれかを満たす必要があります。

● 相続税の申告期間に農業経営を開始し、その後も農業経営を継続する
● 相続税の申告期間に特定貸付けあるいは認定都市農地貸付けをおこなった
● 生前一括贈与を受けた

③農地の要件

被相続人が農業用に使用していた、または特定貸付けもしくは認定都市農地貸付けをおこなっていた農地等であり、さらに以下のいずれかを満たす必要があります。

● 遺産分割がされている
● 贈与税納税猶予の対象となっていた
● 相続の年に被相続人から生前一括贈与を受けた

納税猶予の特例を受けるために必要な手続き

特例が適用されるためには、手続きが必要です。
特例を受けるためには、猶予税額と利子税額に対して見合う担保が必要で、相続税の申告とともに担保の提供もおこないます。

また、農業委員会から適格証明書を交付してもらう必要もあります。
被相続人が亡くなってから10ヵ月が相続税の申告期限です。
その間に、担保に関する書類や適格証明書などの必要書類を集め、相続税の申告書を提出しましょう。
3年ごとに手続きがあることにも注意してください。

納税猶予の打ち切り条件

納税猶予の適用は打ち切られる場合があります。
その場合は、猶予されていた相続税だけでなく、利子税にもご注意ください。
打ち切りになるおもな場合をご紹介します。

● 農地を耕作放棄、他人に譲渡、転用などした
● 農業の経営ができなくなった
● 継続届出書を提出しなかった
● 生産緑地の買取りの申出をした

このように、特例では農業の継続を前提に納税が猶予されています。
したがって、継続できない、またはする意思がない場合には打ち切られます。
打ち切りに合うリスクを減らすためにも、税理士や行政書士などの専門家に相談して、備えるとよいでしょう。

猶予された相続税が免除される条件

特例で納税が猶予されていた相続税が免除される場合もあります。
条件は以下のいずれかです。

● 相続人が死亡した
● 相続人が後継者に生前一括贈与をおこなった
● 相続人が農業を20年間継続した(ただし、三大都市圏の特定市以外の市街化区域内の農地かつ生産緑地でない場合)
基本的には、その土地で農業が続けられているかがポイントです。

まとめ

農地の相続税の概要を解説しました。
農地は価値ある財産であり、相続税がかかります。
農地の種類によって税金の評価額が異なることがポイントです。
生産緑地に指定されれば節税もできます。
農業の後継者の方は、条件が満たせるなら納税猶予の特例の活用も検討できるはずです。 ぜひ参考にしてください。

≪ 前へ|農地の生前贈与に必要な納税猶予制度のポイント   記事一覧

タグ一覧

トップへ戻る