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市街化調整区域の農地を売却するには?売却方法や注意点を解説

カテゴリ:不動産売却/買取

● 市街化調整区域の農地は売れるのだろうか?
● 市街化調整区域の農地を売却する方法を知りたい
● 市街化調整区域の農地売却で失敗したくない

ここでは市街化調整区域の農地売却を検討している方へ、売却制限や売却方法、売却する際の注意点を解説します。

この記事でわかること

● 市街化調整区域の売却制限
● 市街化調整区域の農地売却方法
● 市街化調整区域の農地売却時の注意点

市街化調整区域での売却制限とは

市街化調整区域の土地は、通常の土地と比べて売却が難しいとされているのをご存知でしょうか。
所有している農地が、市街化調整区域に該当する方もいるでしょう。
ここでは、市街化調整区域の特徴と目的、市街化調整区域の土地売却が難しい理由を解説します。

市街化調整区域とは

市街化調整区域は、都市計画法によって市街化が抑制された、商業施設や住宅を建てられない区域です。
都市部の一部、農村地帯などが市街化調整区域に指定されてるケースが多いです。

市街化とは、街作りを指していて住宅を建てたり人が働く場所を建てたりする活動を指しますが、市街化調整区域はそういった街作りが意図的に制限されています。
資源や自然を守る地域のため、原則的に新しい建造物は建てられず、すでに建っている建造物を建て替える場合も行政の許可が必要です。

似た言葉に市街化区域がありますが、これは市街化調整区域と逆で、市街化が推奨されている地域を指します。
市街化区域と市街化調整区域は隣接している場合が多いです。

市街化調整区域のおもな目的

市街化調整区域のおもな目的は、無秩序な市街化の抑制です。

市街化が至る所で広がっていくのを防ぐために、厳しい制限がかけられています。
市街化の抑制で特に重要視されているのが農地です。
人口の増加が見込まれている地域の場合、制限をしなければ市街化が進んで、農地がなくなってしまうでしょう。
市街化調整区域内でも建築が許可されている建造物はあり、農林漁業に携わる人々の住宅は許可がなくても建てられます。
また、農林漁業をするために必要な温室や畜舎、必要な道具を置く場所などの設備も建てるのが認められている建造物です。

市街化調整区域の土地は売れにくい?

市街化調整区域にはいくつかデメリットがあり、他の土地と比べて売れにくい傾向があります。
まず、新しく建造物を建てる場合だけでなく、建造物を建て替える場合にも制限があり、リフォームをするにも申請して許可をもらう必要がある点がデメリットの1つです。
建造物の容積率や建ぺい率の制限の他に、既存の建造物と比べてどれくらい延床できるかなど、自治体や土地の条件によって制限はさまざまです。

また、市街化調整区域では多くの場合インフラが整っておらず、自らインフラを整える必要があります。
公道が近い場合は水道が使える状態のものが多いですが、下水道は整っていない場合があるため、浄化槽などを自ら設置する必要があるでしょう。
自己負担でインフラを整えても自治体の助成金が使えない場合があり、インフラの面が買い手がつかない要因の1つとなっています。

住宅ローンが通りづらい点もデメリットの1つです。 市街化調整区域は土地の評価額が低く、他の土地と比べて住宅ローンの審査が厳しくなっています。
既存の建造物の建て替えやリフォーム時も同様に審査が厳しく、金融機関や建造物の状態によっては、ローンが組めない場合があります。

市街化調整区域でも売却しやすい土地

市街化調整区域の土地はまったく売却できないわけではなく、売却しやすい土地もあります。
開発許可を得て建てられた建造物がある土地は、売却しやすい土地です。
市街化調整区域内で合法的な手続きを踏んでから建てられた建造物があれば、将来的に同じ用途・規模の建造物を再構築できます。
60条証明によって建てられた建造物がある土地も売却しやすいです。
60条証明とは、都市計画法に適した建造物であるのを証明する書面です。
農家従事者の住宅や農林漁業用の建築物が該当し、すでに開発許可を得て宅地となっているため、再度許可を取る必要がありません。

また、開発許可が得られる可能性がある土地も、売却しやすい土地の1つです。
開発の許可がおりるかどうかは、都市計画法の第34条によって基準が定められています。
ガソリンスタンドやレストランなど、生活に必要な建造物が該当します。

市街化調整区域の農地売却方法

市街化調整区域の土地は売却しづらいとはいえ、買い手がいないわけではなく、市街化調整区域の土地を求める人もいます。
ポイントを抑えれば市街化調整区域にある農地でも買い手が見つかるでしょう。
ここでは、市街化調整区域の農地を売却する方法を解説しているので、参考にしてください。

市街化調整区域の土地を農地として売却する

市街化調整区域は地目によって用途が定められており、地目が田や畑の場合、農地として使用する土地です。
市街化調整区域の農地は都市計画法と農地法の規制を受けるため、買い手が限られ、売却しづらい不動産とされています。

農地を購入できるのは農業委員会に許可された農家や、農業従事者などです。
近隣に購入してくれそうな農業従事者がいる場合は、買い手になる可能性があるでしょう。

また、最近ではさまざまな企業が農業に参入しているため、農業法人に農地として売却するのも選択肢の1つです。

ただし、企業は農地にしか使えない土地を安い価格で購入しようとするため、企業に売却する場合は売却価格が安くなる傾向があります。

市街化調整区域の農地を転用して売却する

農業を営む人は年々減少しており、農地をそのまま売却するのは困難です。
農地で買い手が見つからなかった場合は、転用の許可申請をし、農地を他の用途で使用できるようにしてから売却する方法があります。

ただし、転用にはさまざまな制限があり、転用できない農地もあるため注意が必要です。

農地の転用許可を受けるための条件には、以下のようなものがあります。

● 転用許可を受けられる農地
● 所有者に農地法上の違反行為がない
● 農地転用後の使用者に農地法上の違反行為がない
● 農地転用にやむを得ない理由がある

転用できる農地かどうかは、農業委員会が判断します。
農業振興地区に指定されていたり、第一種農地と判断をされたりすると、農地転用許可を受けられません。
転用できない場合は、農地として農業従事者の買い手を見つけるしかないでしょう。

また、農地だけでなく農地の所有者と使用者も、農地法上の違反行為をしていないかを調べられます。
所有者もしくは使用者が他の所有地で、農地を無許可で農地以外の目的に使用している場合などは、転用許可を受けられません。
さらに、申請時点でどういった建造物をどういった目的で転用するのかを明確にしておく必要があります。
やむを得ない理由があっての転用かどうかは、都道府県が判断します。

市街化調整区域専門の不動産会社に相談する

全国にある不動産会社の中から、市街化調整区域の売却の経験が豊富な会社を見つけて相談すると、農地を売却できる可能性が高まります。

しかし、市街化調整区域の土地は流通量が少なく、経験が豊富な不動産会社は少ないです。
農地転用の申請も不動産会社の実力によって転用の許可がおりるかどうか変わるため、農地売却に強い不動産会社を見つける必要があります。

また、市街化調整区域の特徴から、農地の売りやすさはときと場合によります。
所有する農地に合った売却方法を考えてくれる、信頼できる不動産会社を選びましょう。

市街化調整区域の農地を売却するときの注意点

実際に市街化調整区域の農地を売却する際は、土地や建造物の特徴や、自治体の区域指定制度を確認しておく必要があります。
ここでは、市街化調整区域の農地を売却するときの注意点を3つ解説します。

市街化調整区域に該当するかの確認

現在市街化調整区域であっても、都市計画が見直されて変更されるケースがあります。
売却活動をする前に、あらためて所有する農地が市街化調整区域に該当するかを確認しましょう。
市街化調整区域の確認は、自治体のWebサービスが簡単です。
自治体のWebサービスで、地域名に市街化調整区域などのキーワードを追加して検索すると、都市計画マップなどを確認できます。
Webサービスがない自治体に農地を所有している場合や、都市計画の詳細を確認したい場合は、市区町村の都市計画課で確認しましょう。
自治体によっては、現在の都市計画図や計画の見直し時期なども教えてくれます。
将来的に市街化調整区域から外れ、売却しやすくなる可能性もあるため、売却時期を考えるためにも売却活動前に都市計画を確認しておきましょう。

建造物が線引き前か線引き後かの確認

農地に建造物が立っている場合は、その建造物の状態を売却活動前に確認しておく必要があります。

線引きとは市街化区域と市街化調整区域を区分する取り組みです。
線引き前からある建造物か、線引き後に建てられた建造物かを確認する必要があります。
線引き前に建てられた建造物であれば、行政の都合によってあとから市街化調整区域の規制をかけられているため、売却に許可は必要ありません。

しかし、線引き前に建てられた建造物でも線引き後に建て替えをおこなっていると、線引き後の建造物として扱われるため注意が必要です。
線引き後に建てられた建造物は開発許可を受けて建設されていますが、使用者制限のある建造物の場合、買い主は申請をして制限の解除をしないと購入できません。

自治体の区域指定制度を確認

区域指定制度とは市街化調整区域でも、各市町村が指定した区域であれば誰でも店舗や事業所、住宅の建築許可を得られる制度です。
売却したい農地が区域指定されている場合は、土地の利用頻度が高いため、売却につながりやすいです。
自治体のホームページを見ると、その土地が区域指定されているかどうかの確認ができます。
区域指定される条件には、以下のようなものがあります。

● 近隣が宅地となっていて50戸以上の集落がある
● 上下水道が整備されている
● 公道に接している

また、事業として開発された地域は建築行為の許可が不要なため、売買には有利になるでしょう。

まとめ

市街化調整区域の農地は、購入できる対象が農業従事者や農業委員会に許可された農家などに限られます。
そのため、購入希望者の幅が狭く、売却が困難です。
農地を転用したり、専門の不動産会社に相談したりすると売却できる可能性が高まるでしょう。

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