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農地の固定資産税の計算方法とは?税金負担を減らす方法も紹介

カテゴリ:不動産売却/買取

● 農地の固定資産税の計算はどのようにされているか知りたい
● 農地ごとの評価の仕方がどうなっているか知りたい
● 農地の固定資産税の負担を減らす方法はないか

土地を所有すると毎年固定資産税が発生します。
農地も例外なく支払わなければいけませんが、評価額の算定や税率の適用、地域ごとの要因に基づいて計算されており、複雑でよくわからない方が多いのではないでしょうか。
今回は、税額を決定する仕組みや農地の固定資産税を減らす方法を紹介します。
この記事でわかること

● 農地の固定資産税の計算方法
● 農地の固定資産税の元となる評価額の求め方
● 農地の固定資産税額の負担の減らし方

農地の固定資産税の基本計算方法

固定資産税とは土地や家屋などの所有者が毎年支払う税金で、毎年1月1日時点の固定資産課税台帳などへの登録者に対して課税される仕組みです。
通常、固定資産税の評価額は国土交通省発表の公示価格の7割を目安に評価され、1月1日の基準日を基に、その年の3月中旬〜下旬に公表されます。

一般的な農地の固定資産税は、固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%で求められます。
農地の評価額は宅地に比べて低い傾向にありますが、土地の用途地域が都市計画法で市街化区域に指定されると、宅地と同等の評価を受ける点に注意が必要です。
さらに、市街地区域の農地で生産緑地に該当する場合は農地並みの課税額となるため、用地区分は固定資産税を計算するうえで重要な情報です。
相続した場合などは、用途区域を自治体の窓口で調べるか、自治体の公式サイトで確認しておきましょう。

また、固定資産税評価額が30万円以下の場合、固定資産税は免除されますが、この額は3年に一度の見直されます。

固定資産税の評価方法は2つ

農地の固定資産税の計算において重要な要素となるのが、その農地の評価方法です。
農地は土地の現在及び将来の利用目的に基づいて評価されており、農地評価と宅地並み評価の2つに分けられています。
同じ農地でも評価に応じて固定資産税の負担が大きく異なっているため、2つの評価についてこれから詳しく紹介します。

農地評価

農地評価とは、農地の固定資産税評価額で利用される評価を指し、適用は一般農地か生産緑地です。
農地評価では、土地が生産することが可能な作物の種類、収穫量、農地の地形や土壌の質、農業に適した気候条件などが考慮されます。
また、農地での収益の低さが考慮された負担の調整も行われており、農地評価は通常の宅地に比べて低くなります。

・一般農地
一般農地とは農地区分の一つで、農作物の栽培や家畜の飼育など幅広い農業活動に使われている土地です。
特定の農業用途に制限されておらず、都市計画区域外の農地か都市計画区域内の調整区域内にある農地、または生産緑地の指定を受けた農地を指します。
長期的な農地の利用が前提とされている土地であるため、ほかの商業用地や住宅用地と比較して農地の収益性の低さ等を考慮した評価で固定資産税が算出されます。

・特定市街化区域農地
特定市街化区域農地とは、地方税法に規定する市街化区域農地のうち、三大都市圏内の首都圏、近畿圏、中部圏などの特定市の市街化区域内にある農地です。

特定市とは、圏域に存在する政令指定都市と各圏内の整備法によって定められた区域を含む市を指しており、いわば「宅地化のニーズが強い農地」です。
都市計画の進展とともに宅地への転用が進む可能性が高い農地と判断されるため、一般農地に比べて高い税評価(宅地並み評価)を受け、宅地に近い固定資産税が算出されます。

・一般市街化区域農地
一般市街化区域農地とは、地方税法に規定する市街化区域の中で特定市街化区域農地に該当しない区域にある農地です。
都市の発展や拡大、人口増加に伴って市街化が進む地域に位置する農地のほか、約10年以内に優先的・計画的に市街化を図ることが決められている地域の農地を指しています。

今後、農地から宅地に変わる可能性が高く、特定市街化区域農地と同様の税評価(宅地並み評価)を受け、宅地に近い固定資産税が算出されています。

・生産緑地
生産緑地とは、市街化区域にある農地の中で都市計画法によって指定される農地です。
この農地は、都市の中での農業活動の持続による都市の緑化や景観の保全維持を目的として区分されています。

生産緑地の認定を受けるには、次の3つの条件を満たさなければいけません。
一つ目は最低面積が500平方メートル以上の規模条件ですが、2017年の生産緑地法改正によって政令で300平方メートルまで引き下げが可能となり、地域によって差が出ています。
二つ目は、都市環境の保全などその地域で暮らす人などの良好な生活環境の確保に寄与し、公共施設などの敷地の用する土地に適する農地である条件です。
三つ目は、農業活動に伴う用水管理や排水処理が適切で、農林魚業の継続が可能な条件を備えていると認められる農地となっています。
生産緑地に指定されると、30年は農地活動を続ける必要がある点に注意しましょう。

宅地並み評価

宅地並み評価は、今後宅地に転用される可能性が高い農地を対象とした評価基準で、特定市街化区域農地と一般市街化区域農地に適用されます。
宅地並み評価の農地は宅地と同じ固定資産税額になってしまうのです。

そこで、一般市街化区域農地は、耕作放棄地(1年以上作物を栽培せず今後数年耕作予定がない農地)以外は農地評価と同様の負担の調整措置が取られます。
特定市街化区域農地に関しては負担の調整措置はありませんが、宅地並み評価を受けてから4年間は軽減措置が適用されます。
ただし、相続などで農地を受け継いだ場合は、軽減措置が終了している可能性が大きく、その場合は一般住宅用地と同じ課税方法になりますので、あらかじめ調べておきましょう。

農地の固定資産税の計算方法

農地の固定資産税は、土地の評価や農地がある地域の都市計画によって農地評価と宅地並み評価に分けて算出されます。
さらに、宅地並み評価の中でも一般市街化区域農地と特定市街化区域農地で異なるため、複雑に感じる方も多いのではないでしょうか。
ここから、農地区分ごとの固定資産税額の計算方法をわかりやすく紹介します。

一般農地や生産緑地

一般農地と生産緑地は今後も農地活動を続ける可能性が高いため、固定資産税軽減の負担調整が行われます。
計算式は「本則税額=評価額×税率(1.4%)」と「調整税額=前年度の課税標準額×負担調整率×税率(1.4%)」2通りです。
これらを求めた後、低い額が固定資産額となります。
二つ目の調整税額を出す計算式には負担調整率が出てきますが、これは負担水準に応じた負担調整率を指し、その農地の課税標準額が評価額に対してどの程度まで達しているかを示す値です。
一般農地と生産緑地の場合は「前年度の課税標準額÷今年度の評価額」で負担水準を算出します。
負担水準が70%未満だと1.1、70〜80%未満だと1.075、80〜90%未満だと1.05、90%以上だと1.025が負担調整率です。

一般市街化区域農地

一般市街化区域農地で現在も農地として利用している場合は、近傍類似宅地の価格から宅地造成費用を差し引き評価額を算出します。
宅地造成費用とは、当該農地を宅地に転用する場合に通常必要と認められる造成費に相当する額のことです。
そこから、固定資産税額を出すために、2通りの計算「本則税額=評価額×1/3×税率(1.4%)」と「調整税額=前年度の課税標準額×負担調整率×税率(1.4%)」を行います。
これらを求めた後、低い額が固定資産額となります。
二つ目の調整税額を出す計算式には負担調整率が出てきますが、これは一般農地の負担調整率を適用してください。

特定市街化区域農地

特定市街化区域農地は負担水準0.8を基準にするため、まずは「前年度課税標準額÷(今年度価格×1/3)」で負担水準を算出します。
負担水準が0.8未満の場合は、2通りの計算式を行います。
まず「本則税額=評価額×1/3×軽減率×税率(1.4%)」ですが、特定市街化区域に指定された初年度は0.2、2年度目は0.4、3年度目は0.6、4年度目は0.8を入れてください。
次に「調整税額=(前年度課税標準額+本年度評価額×1/3×5%)×税率(1.4%)」を算出し、低い額が固定資産税となります。
負担水準が0.8以上の場合も、2通りの計算式を行います。
まず「本則税額=評価額×1/3×軽減率×税率(1.4%)」ですが、軽減率は先ほど述べた通りです。
次に「調整税額=前年度課税標準額×税率(1.4%)を算出し、低い額を固定資産税額とします。

農地の税金負担を軽減する方法

農地の税金負担を軽減するためには、各免除制度の利用が欠かせません。
持続的な農業活動を行う目的で国や自治体によって設置されている制度などを紹介しますので、ご自分やその土地が該当するか詳しくみていきましょう。

農地の評価額

農地の評価額が30万円未満の場合は、農地によって生み出される利益がほぼないとされており、固定資産税免除の対象です。
この免除は、一般農地、特定市街化区域農地、一般市街化区域農地に適用されますが、市街化区域は土地評価額がもともと高いため、免除の対象となる所有者は少ないと考えられます。

また、農地以外にも土地だけを所有する場合も、課税標準の土地合計額が30万円未満だと免除ですが、土地内に家屋を所有する場合は、家屋に関して固定資産税が発生します。

災害や生活保護

台風や大雨、地震、津波などの自然災害や火災に見舞われた場合は、固定資産税の減税・免除の対象です。
災害発生の日以降の固定資産税が被害の程度により、全部または一部が免除になる制度が各自治体に設けられています。

また、生活保護を受けている場合は、税金の納付が困難で一定の要件を満たす人は固定資産税の減免・免除の対象となります。
災害も生活保護も、対象と範囲が各市町村によって異なるため、窓口で問い合わせるか各自治体の公式サイトで調べましょう。

審査の見直し

農地評価額や固定資産税額自体が適正ではない可能性があるので、審査請求を行うのも可能です。

審査請求の申し出は、税額公示日から納税通知書公布の3か月前までの受付となります。
審査請求に対する裁決に納得がいかない場合は、その処分の取り消しの訴えも提起でき、期間は、その裁決の送達を受けた日の翌日から6か月以内です。
審査請求を行う前に、市町村役場の固定資産税課で計算根拠の確認をしたり、周辺の農地と価格や相続税評価額と比較したりして適正な額か確認しておきましょう。
あまりに差異がある場合は、審査請求で減額が認められる可能性があります。

まとめ

農地の固定資産税は、農地の評価基準や区域区分で大きく異なり、固定資産税額の計算方法もそれぞれ違います。
一般農地と生産緑地は農地評価となり、固定資産税は低く設定されていますが、特定市街化区域農地と一般市街化区域農地は宅地並み評価です。
一般市街化区域農地には農地に準じた課税が行われますが、特定市街化区域農地は宅地並みに課税されるため高い税額が発生しかねません。

税負担の調整措置などに該当する農地や所有者は上手に利用しましょう。

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