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農地の売却が簡単にできない理由とは?売り方や高く売るポイントを解説

カテゴリ:不動産売却/買取

● 農地を相続したが農業は継がないため使い道がない
● 跡継ぎがいないため所有する農地を売りたい
● 農地の売却には法律の制限があると聞くがどうしたら売れるのか?

ここでは所有する農地を売却できないと悩んでいる方へ、売却が難しいとされる理由と、具体的な方法や必要な対策を解説します。

この記事でわかること

● 農地を簡単に売却できない理由
● 農地の売り方とリスク対策
● 農地をできるだけ高く売るポイント

農地売却が難しい理由

農地を売るには法律で制限があり、農業委員会の許可を得なくてはならない点が難しいとされる理由です。
農業に携わる人の減少や高齢化が進み、収益性も不安定であるため、需要が少ないのも売却を難しくしています。

農地を売るには許可が必要

一般の土地と異なり、農地を売却するには法律の制限があり、自由に売買できません。 農地は国民の生活のために欠かせない貴重な資源です。
国土の面積が小さい日本では、食料自給率を維持するためにも農地を確保しておく必要があります。
安易に売却されてしまうと本来の目的で活用できず、結果的に農地が減少する可能性があるため、農地法によって制限が設けられています。
農地として売れないなら、宅地や駐車場にして売ればよいと思う方もいるでしょう。
農地以外の目的で使用するにも制限があり、自由に変更はできません。
農地を売る際や農地以外に転用する際には、農業委員会や都道府県知事の許可が必要です。

農業に従事する人が減少している

農業を仕事にする人の数は年々減少傾向にあり、高齢化も進んでいます。
農林水産省の統計によると、令和5年の基幹的農業従事者の推定値の数は116.4万人であり、平成28年の158.6万人と比べて42万人あまりも減少しています。
基幹的農業従事者とは、普段から仕事として農業に従事している人です。
同調査の令和5年の平均年齢は68.7歳であり、高齢化が進んでいる状況がわかります。 農地を新たに購入できる人が減りつつあるのは、売却が難しい理由の1つです。
出典:「農業労働力に関する統計」(農林水産省)

収益性が不安定で需要が低い

農業では天候に左右される面もあり、収穫量が少ない場合や多すぎる場合にも、思うように利益が得られない場合があります。
定期的に作物が収穫できて、毎月安定した収入を得られるわけではありません。
経費のかかり具合によっても所得が変動するため、収益性が不安定です。
土地活用の手段として需要が低い点も、農地が売れにくい理由といえるでしょう。

農地の売却方法~そのまま農地として売る

農地を売却する方法には、そのまま農地として売る方法と、宅地などの他の目的で使えるように転用して売る方法の2とおりあります。
ここでは、そのまま売却する方法の流れと、売却できないときのリスク対策を解説します。

農地のまま売るときの流れ

農地として売るときの一般的な流れは以下のとおりです。

1. 農業従事者である買い手を探す
2. 売買契約を結ぶ
3. 売却許可を農業委員会に申請をする
4. 所有権の移転登記と決済をおこなう

購入できる買い主が農地法で限定されているため、農業に従事している購入希望者を探す必要があります。
買い手を見つけて売買契約を結んだら、次におこなうのが農業委員会への売却の許可申請です。
許可が下りれば、一般的な売買契約と同じように、登記手続きや決済をおこないます。

農地のまま売るときのリスク対策

農地のまま売るときのリスクとして考えられるのが、買い手が見つからない可能性が高い点です。
農地を購入可能なのは農業に従事している個人や法人に限定されており、農業に従事していると認められる条件も厳しいため、買い手になれる人はかなり少なくなります。
そのため、売却に時間がかかり、価格が低くなるケースも珍しくありません。
近所の農業関係者に声をかけても買い手が見つからない場合は、農業委員会にあっせんしてもらいましょう。
農地の取引に強い不動産会社に依頼するのも対策の1つです。

農地の売却方法~転用して売る

農地を宅地などの他の目的で使えるように転用して売る方法もあります。
ただし、どのような農地でも都合に合わせて自由に転用できるわけではありません。
転用して売るときの一般的な流れと転用する方法、リスク対策を解説します。

転用して売却するときの流れ

農地を転用して売るときの流れは以下のとおりです。

1. 買い手を探す(農業従事者でなくてもよい)
2. 売買契約を結ぶ
3. 転用許可を申請する
4. 所有権の移転登記と決済をおこなう

転用して売る場合は、買い手を農業従事者に限定しなくても構いません。
売買契約を結ぶ際に、許可が下りない場合は白紙撤回できる条件をつけるのが一般的です。
転用できないと、買い主が希望する土地活用ができなくなるためです。
また、転用の許可が下りるまで、買い主は所有権を得られません。
買い主の権利を守るために、多くのケースで仮登記をおこないます。

農地を転用する方法

農地を転用するには申請書と必要書類をそろえて、農地が所在する市町村の農業委員会に提出しなくてはなりません。
登記事項証明書や土地に設置する予定の建物・道路の位置を明らかにした図面など、専門的な書類が多いため事前に確認しておきましょう。
農業委員会は申請書に意見を付けて都道府県知事に送付し、許可などの通知は都道府県知事から申請者に通知されます。
申請は、農地を転用して売却する人と購入する人の連名でおこないます。
都市計画法で市街化区域に指定されている場合は、農業委員会に必要書類を提出すれば転用が可能です。

農地を転用するときのリスク対策

転用して売却するときのリスクとして、許可が下りない可能性がある点が挙げられます。
許可が下りないと売買が無効になり、手付金も買い主に返還されて白紙解除になる場合がほとんどです。
リスクを避けるためには、始めに転用を申請する農地の立地条件を確認する必要があります。
転用の許可を得るには、立地基準と一般基準で定めた許可要件をクリアしなくてはなりません。
農地の生産性や利用状況による区分は何か、申請目的を確実に実現できるのかが判断の基準です。
売却活動をおこなう前に、農業委員会に転用できるかの相談をしましょう。
手続きの方法や必要書類なども教えてもらえるため、売却が完了するまでの見通しもつけやすくなります。

農地転用ができないケース

農地転用の許可が下りないケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
農業保護のため、安易に売買・転用されないように、農地法による規制があります。
農地転用の可否を判断する際に用いられるのは、立地基準と一般基準です。
それぞれの基準で、転用できないケースを解説します。

立地基準で不許可になるケース

立地基準とは、農地を生産性や周辺の環境で区分して、どの区分に属するかで転用の可否を判断する基準です。
区分は5つに分けられており、そのうち、農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地の3区分は原則的に転用は認められません。
生産性が高く優良で、規模の大きな農地ほど、規制は厳しくなっています。
農業を保護する国の政策で、優れた農地を更地にされて、他の目的に利用されるのを防ぐためです。
なかでも農用地区域内農地は特に生産性の高い農地に指定されており、転用申請の前に農業振興地域からの除外申請をする必要があります。

一般基準で不許可になるケース

一般基準では、転用後にどのような土地活用がおこなわれるかで許可の可否を判断します。
転用後に確実に土地を活用できる見込みがない場合や、周辺の農家や住民の迷惑になる可能性が高い場合には許可が下りません。
土地活用の確実性が認められないのは、農地法以外の法令で認可や、関係権利者の同意が得られないケースです。
周辺農地へ被害を防ぐ対策が適切でないケースや、農地集積に支障があるケースも不許可になります。
資材置き場や臨時駐車場などの目的で一時的に転用する場合に、利用後すぐに農地に戻せない可能性がある場合も、許可を得るのは難しいでしょう。

農地を高く売却するためのポイント

農地の売却には法律の制限があり、農業に携わる人の高齢化により需要が減っているため、売却相場は年々下落傾向にあります。
できるだけ高く売るために、押さえておくべきポイントを4つ解説します。

転用してから売る

農地は一般的な土地と査定の基準や相場が異なり、農地のままでは高額で売りにくいのが一般的です。
買い手も農業従事者に限定されるため需要が少なく、売却自体が難しい傾向にあります。
農地を転用できれば一般的な土地として売却できるため、幅広い層が買い手の対象になり、需要も増えて高額での売却に効果的です。

5年経過してから売る

農地を売却すると譲渡取得金額に対して税金を支払う必要がありますが、所有期間によって譲渡所得税と住民税の税率が異なります。
所有期間別の税率は以下のとおりです。


 5年を境に、ほぼ2倍の納税額の差が生じるため、時期を考慮して売却するのもポイントの1つです。

農地をきれいにしておく

農地を放置すると、雑草が生えたりゴミを不法投棄されたりして、見た目が悪くなります。
買い手がつきにくくなるため、少しでも高く売るためには定期的な管理が必要です。
雑草の除去や排水路のメンテナンス、ゴミや不用品の片付けなどをおこない、きれいな状態を保っておきましょう。
不法投棄されたゴミの処理費用は土地の所有者の負担になりますが、きれいな状態が維持できていれば不法投棄のリスクを減らせます。

知識と経験のある不動産会社を選ぶ

農地の取引に強い、知識と経験のある不動産会社を選びましょう。
農地を売却する場合は、近隣の農家や地権者とのつながりも重要になるため、地元に詳しい会社に依頼するのがポイントです。
地域のニーズを把握しているため、適切なアドバイスがもらえるでしょう。
また、農地の転用は特殊なケースであるため、転用後の売却実績のある会社を探すのも重要なポイントです。

まとめ

農地の売却には法律の制限があり、需要も少ないため難しいとされています。
売却するには、そのまま農地として売る方法と転用して売る方法の2つがありますが、いずれも農業委員会の許可が必要です。
できるだけ高く売るために、転用を検討したうえできれいな状態を保ち、知識と経験のある不動産会社に依頼しましょう。

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