● 使っていない農地はどう扱えばいい?
● 農地をそのまま放置すると何かデメリットはあるの?
● 農地を活用する際に、知っておくべき点はある?
使わずに放置された農地は、固定資産税や管理の手間がかかり、所有者にとって大きな負担になります。
このような負担を減らすためにも、農地の特性に応じた活用方法を早めに検討する姿勢が重要です。
農作物を育てる以外にも、観光や市民農園、太陽光発電など複数の選択肢がありますが、それぞれ法的な制約や条件があります。
ご自身の所有している土地の特性にあわせて最適な選択ができるよう、事前に基本知識を押さえましょう。
この記事でわかること
● 遊休農地を放置するデメリット
● 農地を活用する際の注意点
遊休農地とは
遊休農地とは、農地法で次のように定義されています。
● 現在も今後もしばらく農地として使われる予定がない
● 地域のほかの農地と比べて明らかに活用されていない
農地法では、1年ごとに農地が活用されているかどうかを確認しています。
昔は農地として使用されていたものの、現在は放置されて荒れ果てていたり周りの農地と比べて活用されている形跡がない場合は「遊休農地」に指定されます。
農地の有効活用方法とは?
使っていない遊休農地はそのまま放置していても利益が出ないので、最適な活用方法がないかどうかをご検討ください。
ここでは、農地を有効活用する方法を解説します。
第三者に農地を貸し出す
農業をしている個人・法人に農地を貸せれば、土地の賃料収益を得られます。
ただ所有しているだけでは固定資産税の支払いや管理責任が発生しますが、第三者に貸し出しできれば負担を軽減できます。
農地周辺で農業をしている人たちに声をかけてみると、意外にも「借りられるなら、借りたい」と返答をもらえるケースも多くあるそうです。
第三者に農地を貸す場合、農業委員会からの許可が必要です。
借主が農業をしていればスムーズに申請が通りやすいですが、そうでなければ厳しく審査される可能性があるため、あらかじめ理解しておきましょう。
周辺で農業をしている人から需要がなければ、インターネットの掲示板サイトなどを有効活用してみてください。
観光地化する
体験型の農園ビジネスで観光地化できれば、入園料の徴収で利益を生み出せます。
イチゴ狩りやぶどう狩りなど外部の観光客を地域に呼び込み、運営するビジネスモデルも多く、ある程度の知名度が高まれば大きな利益につながります。
農業に関連しているビジネスであれば手続きがスムーズに進みやすく、外部から観光客を呼び寄せられれば、地域の活性化にもつながるでしょう。
ただし、農園ビジネスをするにあたって農作物の管理が必要になったり、外部から観光客をどのように呼び寄せるかの経営戦略が必要です。
ただ、農業ビジネスを始めただけでは利益につながらない可能性があるため、計画的にビジネス展開を進めなければなりません。
市民農園を開業する
市民農園とは、農業従事者以外の人たちが家庭菜園を楽しんだり、子どもたちのための農業を体験してもらったり利用される小規模な農地です。
農地の利用料は、相談して決めるのが一般的であり、市民農園の利用者が多いほど多くの利用料を徴収できます。
市民農園を開設する方法は、大きく分けて3つあります。
● 市民農園整備促進法による方法
● 特定農地貸付法による方法
● 農業利用方式による方法
最も多く利用されている開設方法は、特定農地貸付法です。
申請方法や運営については、自治体や法人ごとに異なるため、農林水産省のホームページにてご確認ください。
太陽光発電を導入する
原則として農地は、農業を営むための土地とされていますが、市区町村の役所で農地転用の手続きが認められれば、農地転用が可能です。
農地転用とは、農地を農業以外の目的で利用する方法を意味します。
農地転用の選択肢として、太陽光発電システムの設置が注目されています。
作物を育てるために用意された土地は、日当たりが良く敷地面積が広い傾向にあるため、太陽光発電との相性が良いです。
通常の農地転用は手続きのハードルが高いとされていますが、次世代エネルギーとして注目されている太陽光発電は、スムーズに手続きが進む場合があります。
自治体によっては、太陽光発電システムの導入費用に関する軽減措置を用意している可能性があるため、ご確認ください。
売却する
将来的に農地を利用する予定がなければ、売却を検討するタイミングかもしれません。
農地を所有しているだけでは、納税や管理義務などの負担が大きいですが、売却して所有権を第三者に移転できれば、それらの義務や責任から解放されます。
なお、農地を売却する際には、次の要件を満たした買主を探す必要があります。
● 農地をすべて効率的に利用する
● 農地の一定面積で経営できる
● 周辺農地に悪影響がない
● 当該譲受人が農業に従事している(個人の場合)
これらの条件を満たした買主をみつけるだけではなく、農業委員会からの許可も必要です。
実際に周辺の土地で農業を営んでいる農家に声をかけたり、農地の売買取引が得意な不動産会社に相談してみてください。
遊休農地のままにしておくデメリットは?
遊休農地をそのままにしておいても問題ないだろうと考える方もいますが、実際には税金や再利用において不利になる可能性があります。
ここでは、遊休農地をそのままにしておくデメリットを解説します。
税金の負担が大きくなる
遊休農地は、一般的な土地よりも固定資産税が高く設定されています。
通常の土地に課せられる固定資産税の計算方法は、次のとおりです。
● (1)評価額(売買価格×0.55%)×税率(1.4%)
● (2)前年度の課税標準額(前年度の売買価格×0.55%)×負担調整率×税率(1.4%)
通常の土地は、いずれか金額の少ないほうが固定資産税の課税額として適用されます。
一方の遊休農地に該当する土地の場合、評価額や課税標準額に対して、通常(0.55%)よりも高い1.8倍の税率が適用される特例措置があります。
農地が活用されずに放置されていると、利率が高くなる特例措置が課せられてしまうので注意が必要です。
再利用の難易度が高くなる
適切に管理されている農地と比べて遊休農地は、誰かが管理するわけではないため、雑草が生い茂って再利用する際の負担が大きくなります。
明らかに手入れが施されていない土地は、不法投棄や放火などの犯罪現場のターゲットになりやすく、一度狙われると負の連鎖につながります。
とくに粗大ゴミや産業用廃棄物が捨てられてしまうと、再利用する際には高額な廃棄コストが発生するでしょう。
劣悪な状態になっている遊休農地は、売却したくても購入希望者がみつからずに売れ残ってしまいます。
将来的に活用を検討しているのであれば、放置するほど再利用の難易度が高くなる点を理解しておきましょう。
景観が悪くなり地域のイメージが下がる
長期的に遊休農地を放置していると、雑草が生い茂ったり、不法投棄されたりして、景観を著しく損ないます。
景観の悪化は「治安が悪そう」「管理が徹底されていない地域」などのマイナスな印象を持たれ、移住希望者や観光客に敬遠される可能性が高いです。
放置されている土地のせいで地域全体の印象が悪くなれば、住民たちの資産価値にも直接的な影響がでるため、苦情・クレームにつながります。
景観は単なる見た目の問題にとどまらず、地域全体の印象や将来的な資産価値に影響する点を理解したうえで、適切な管理をおこないましょう。
害虫・害獣が繁殖する
雑草や倒木が放置されている遊休農地は、害虫や害獣の繁殖源になります。
とくに夏の時期には、蚊やハエなどの虫が大量発生すると、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼします。
また、ネズミやハクビシン、アライグマ、猫などの野生動物が住み着いてしまうと、糞尿による悪臭や感染症、農作物の被害など深刻な問題に発展しかねません。
周辺の土地に迷惑をかけるだけではなく、農地を再利用する際にも準備に時間を要してしまうため、定期的な雑草処理や清掃が必要です。
農地を有効活用するための注意点は?
農地は、一般的な土地とは異なる規制がかかっているケースも珍しくなく、無計画に始めると大きな損失につながるおそれがあります。
ここでは、農地を有効活用するための注意点を解説します。
農地活用の規制を確認する
農地を活用する際には、2つの規制を押さえましょう。
● 農地法:農地の売買・転用に関する規制
● 都市計画法:地域の健全な発展とまちづくりを実現するための規制
農業を営むために用意された農地では、転用して良い土地と転用する際には農地法に沿って許可をもらわなければならない土地があります。
許可をもらわなければならない場合、申請から許可を得るまでに6週間ほどの時間がかかるため、スケジュールに余裕を持たせた準備が必要です。
都市計画法は、都市計画区域と準都市計画区域に区分されます。
将来的に農地に建物を建築しようと考えている場合は、建築が認められるかどうかの確認を済ませておきましょう。
周辺住民に配慮する
第三者への売却・貸借、農地転用を検討している場合、近隣住民への配慮が必要です。
とくに、市民農園や観光地化、太陽光発電の設置など農業以外で活用するのであれば、地域住民の生活環境が大きく変わってしまう可能性があります。
土地の取り扱いは所有者が自由に決める権利があるものの、近隣住民との関係性が良好でなければ、苦情やクレームの対象になります。
地域によっては、住民同士の関係性や昔からあるルールを大切にする文化が残っているため、事前に相談をして必要に応じて説明会を開くなどの対応が欠かせません。
はじめは拒絶反応を示すかもしれませんが、丁寧に説明や対話の機会を作れば、地域住民からの理解や協力も得やすくなるでしょう。
継続的な収支計画を立てる
農地活用は、初期費用や導入費用が高額になる可能性があるものの、すぐに収益が安定するとは限りません。
市民農園や観光地では、利用者が集まらなければ利益が発生せず、管理費やランニングコストなどの諸費用のほうが高くなる可能性があります。
「何もせずに放置しておくのはもったいないから」などの理由で安易に農地活用を始めるのではなく、数十年後も安定した収益を得られるかどうかの収支計画が重要です。
収支計画が曖昧だと、大きな損失が発生する原因になるため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けましょう。
補助金や助成金をうまく活用する
農地の活用には初期費用や維持費がかかる場合もありますが、国や自治体の補助金・助成金を活用することで、負担を軽減しながら計画的に進められます。
農地活用に使える補助金や助成金として、次のようなものがあります。
● 農地利用効率化等支援交付金:農業用機械・施設の導入を支援
● 強い農業づくり総合支援交付金:生産から流通までの課題解決を支援
● 市民農園開設等促進事業補助金:耕作放置地の活用を支援
数十万〜数百万円単位で補助金・助成金が用意されています。
それぞれの制度によって支給条件や支給額は異なり、予算に達すると募集が終了するものも多くあるため、気になる制度があれば早めにご利用ください。
まとめ
使っていない農地を有効活用すると、納税負担や景観悪化を予防するだけではなく、収益化や地域貢献等のメリットが期待できます。
ただし、農地を農業以外の目的で利用する場合には法的な制約があったり、近隣住民への配慮が必要だったりするため、計画的に準備を進めなければなりません。
導入費用や維持費が高額になる可能性がありますが、補助金や助成金を利用しながら、最適な農地の活用方法を見極めましょう。







