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生産緑地解除にかかる費用とは?節約方法や解除後にかかる税金について解説

カテゴリ:不動産売却/買取

● 生産緑地を解除するにはどのくらいの費用が必要?
● 生産緑地の解除で支払う税金に変化はある?
● 生産緑地を解除するメリット・デメリットとは?

この記事では、生産緑地の解除を検討している方に向けて、解除する際に必要となる費用の種類や目安や、費用を節約する方法、解除後の税金について解説します。

また、生産緑地解除のメリット・デメリットについてもご説明しますので、参考にしてください。

この記事でわかること

● 生産緑地の解除にかかる費用
● 生産緑地解除費用の節約方法
● 生産緑地解除後の税負担

生産緑地の解除にかかる費用

生産緑地の解除にかかる費用には、申請時に必要となる費用(各種手数料、専門家への依頼料)と申請が通った際に支払う費用(税金)の2種類があります。
それぞれ解説します。

各種手数料

生産緑地を解除するには、まずは市町村に対して生産緑地の買い取りを申請する必要があります。
申請の際にはさまざまな書類が必要で、そのうちのいくつかは取得の際に手数料を支払わなければなりません。
申請時の必要書類と取得費は、以下のとおりです。

● 土地登記事項証明書(全部事項証明書):480~600円
● 公図・位置図:362~450円
● 医師の診断書:2,000~10,000円程度(記載内容による)

それぞれ詳しく解説します。

土地登記事項証明書(全部事項証明書)

土地登記事項証明書とは、登記簿に記載されている土地の情報を証明書としてまとめた書類で、法務局にて取得可能です。
請求方法は書面請求とオンライン請求の2種類、交付方法は窓口と郵送の2種類あります。 それぞれの取得費用は、以下のとおりです。


公図

公図とは、土地の位置や形状が確認できる公的な書類です。
こちらも法務局で取り扱っていて、窓口や郵送のほかにインターネットからPDFファイルとしてダウンロードする形での取得も可能となっています。
それぞれの取得費用は、以下のとおりです。


 かんたん証明書請求とは、自宅のパソコンから一部の証明書が請求できる、いわゆるオンライン請求です。
登記情報提供サービスもインターネットでの請求が可能なサービスですが、取得した書類は公的な証明として利用できません。

したがって買い取り申請に提出する際は、登記情報提供サービス以外の方法で取得する必要があるので注意してください。

医師の診断書

自治体への買い取り申請は、生産緑地指定から30年が経過したとき・農業従事者が亡くなられたとき・怪我や病気などの理由で農業が続けられなくなったときのみとなっています。
このうち、怪我や病気を理由に申請する場合は、医師による診断書が必要です。
診断書の発行には費用がかかりますが、具体的な料金は各病院がそれぞれで設定しています。

また診断書に記載する内容によっても料金が変化するため一概にはいえませんが、診断書の費用目安は、2,000〜10,000円程度が一般的です。

専門家への依頼料

生産緑地の買い取りは自分で申請できますが、市町村の農業委員会や都市計画課との協議が必要なほか、手続き自体も指定解除されるまで半年程度かかってしまいます。

そのため司法書士や行政書士など、専門家に手続きを依頼するケースが少なくありません。
専門家に依頼をすれば、面倒な手続きや協議をすべて代行してもらえるうえ、自分で手続きを進めるよりもスムーズな進行が期待できるでしょう。
費用相場は、12万円程度が一般的です。

納税猶予されていた相続税と利子税

生産緑地の指定を受けている間に相続税や贈与税の納税猶予を利用していた場合は、猶予されていた税金と利子税をあわせて、一括で支払わなければなりません。
生産緑地が指定解除されると、納税猶予の措置が停止されるため、猶予の期限も決定されます。

そのため生産緑地を相続した際に発生した相続税または贈与を受けた際に発生した贈与税と、現在までの利子分を支払わなければならないのです。

このように、過去に遡った課税ともいえるため、遡り課税と呼ばれる場合もあります。
納税猶予は、相続税や贈与税を帳消しにするわけではなく、国から課税額を借り受ける形で、納税タイミングを先延ばしにしているだけに過ぎません。

したがって納税猶予の期間が長ければ長いほど、課せられる利子税の金額も大きくなります。
相続税や贈与税も大きな金額になりがちなので、注意が必要です。

生産緑地の解除にかかる費用を節約する方法

生産緑地の解除にかかる費用の大部分は、遡って支払わなければならない相続税と利子税です。
納税猶予の適用を受けていた方が亡くなった場合は、納税猶予を受けている税金の支払いが免除されます。
一般的な農地では、農業を20年営み続けていれば免除となりますが、生産緑地での納税猶予は終身営農が前提となっています。

そのため、猶予を受けた方が亡くなるまで農業を続けなければ、免除されません。
注意していただきたいのは、納税猶予と対象となった相続税のみが免除対象になる点です。
猶予を受けた方(亡くなった方)から土地を相続する際に発生する相続税は、納税義務が残ります。

生産緑地解除後の税金はどうなる?

生産緑地は解除する際に大きな負担がかかる可能性があるため、つい解除費用にばかり注目してしまう人が多いです。

しかし、実際には解除後も税金の負担が増加していくため、注意が必要です。
ここからは、解除後の税負担について解説します。

固定資産税が激増してしまう

生産緑地には相続税の納税猶予だけでなく、固定資産税と都市計画税の税率が農地と同様に低くなる優遇措置があります。

したがって生産緑地を解除すると、農地並みだった固定資産税と都市計画税が、宅地並みに増えてしまいます。
具体的な計算式は複雑なので省略しますが、生産緑地の状態では数千円程度だった固定資産税が解除によって数十万円になってしまうイメージです。
場合によっては100倍以上になってしまうケースもあるため、かなりの負担増を覚悟しなければなりません。

激変緩和措置によって段階的に負担額が増加していく

生産緑地の解除によって、固定資産税は劇的に増加する可能性が高いです。
三大都市圏の特定市の場合、急激な税金の増加による負担を抑えるために、激変緩和措置と呼ばれる一時的な措置が適用されます。
5年間の激変緩和措置期間中は、固定資産税を計算する際に軽減率が適用され、その分だけ算出される税額が少なくなります。
通常の固定資産税の計算式は「課税標準額 × 税率」で、激変緩和措置での固定資産税の計算式は「課税標準額 × 軽減率 × 税率」です。

なお、適用される軽減率は1年目が0.2・2年目が0.4・3年目が0.6・4年目は0.8を掛け合わせて計算します。
たとえば、宅地としての課税標準額が1,000万円となる生産緑地を解除した場合、通常の固定資産税と最初の1年目の固定資産税は「1,000万円 × 税率(1.4%)=140万円」です。 さらに、激変緩和措置での固定資産税は「1,000万円 × 軽減率(0.2)× 税率(1.4%)=28万円」となります。
激変緩和措置の期間中はかなり固定資産税が抑えられますが、段階的に通常の固定資産税に近づくため、何かしらの対策が必要です。

生産緑地解除のメリット

解除によってさまざまな費用が発生してしまう生産緑地ですが、指定解除にはいくつかメリットがあります。
4つのメリットについて解説します。

農業を続けずに済む

生産緑地の指定を受けた場合、その土地の所有者は30年または終身において、その土地を農地として維持し続けなければならない営農義務が生じます。
指定解除をすれば営農義務もなくなるため、その土地で農業を続ける必要がなくなります。

たとえば生産緑地の指定を受けて30年が経過し、所有者の体力的に農業を続けるのが難しいと判断した場合は、指定解除によって農業を辞めたほうがよいでしょう。
生産緑地を相続したものの農業を続ける気がない場合も、指定解除すれば営農義務がなくなり、自由に土地を活用できるようになります。

マイホームを建てられるようになる

生産緑地に指定されている間は農地として維持し続ける義務が発生するため、たとえ一部であってもその土地にマイホームを建てるのは認められません。

ですが指定解除によって営農義務がなくなれば、農地として維持する必要もなくなるため、その土地にマイホームを建てられるようになります。
広い土地を利用して理想のマイホームを建てたい方にとっては、新たな土地を買う必要がなくなるため、メリットと言えるでしょう。

土地を活用できるようになる

マイホームが建てられるようになるのと同様の理由で、土地活用が可能です。
代表的な活用方法として、広い敷地を利用してアパートなどの賃貸物件を建てて経営する、駐車場に変えて運用する、などが挙げられます。
ファミリー層の需要が多い住宅地であれば、賃貸用の一戸建てを建てるのもよいでしょう。
このように生産緑地を解除すれば、安定的な収益を得る手段として土地を活用できるようになります。

土地を売却できるようになる

生産緑地の状態では不可能だった土地の売却が可能となります。
生産緑地のままでも農地としての貸し出しは可能ですが、まとまった金額を用意したいなどの理由で売却したい場合には、生産緑地を解除しなければなりません。
農業を続ける気がないケース・土地活用を考えていないケースでは、土地を所有し続けるだけでも維持費がかかってしまいます。
固定資産税も年を追うごとに増額していくため、早めの売却がおすすめです。

生産緑地解除のデメリット

生産緑地の解除にはメリットもありますが、当然デメリットも存在します。
ここからは復習の意味も込めて、生産緑地の指定を解除するデメリットを確認していきましょう。

高額な納税猶予額を支払う必要がある

すでにお伝えしたとおり、納税猶予の特例を利用していた場合は、解除のタイミングで猶予されていた相続税を支払う必要があります。
生産緑地は一定以上の広さがなければ指定されないため、相続税も高額になりがちです。
かなりのまとまった金額が必要になりますので、あらかじめ何らかの手段で資金を用意しておく必要があるでしょう。

納税猶予を受けていた期間に応じて利子税が課せられる

納税猶予を利用していた場合は、利子税の支払いにも注意が必要です。
相続税の納税猶予は、国から相続税分の資金を借り受ける形でおこなわれます。

したがって相続税額が高く、猶予期間が長いほど、課せられる利子税も高額になってしまいます。

また猶予されていた相続税とあわせて、一括して支払わなければならない点にも注意してください。

固定資産税の負担が増加する

農地並みに軽減されていた固定資産税が、宅地並みに増加してしまう点も、指定解除の大きなデメリットの1つです。
解除から5年間は激変緩和措置が適用されるものの、5年後には通常通りの金額を支払わなければなりません。
できるだけ早い段階で土地の活用や売却を考える必要があります。

まとめ

生産緑地の解除にかかる費用には、申請にかかる各種手数料・専門家への依頼料のほかに納税猶予されていた相続税と利子税も支払わなければなりません。

一方、解除によって農業を続ける義務がなくなるほか、土地の売却や農地以外の活用が可能となる点が魅力です。
メリットとデメリットを天秤にかけて、どうするべきかを判断しましょう。

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